About Face 3 — ユーザー理解とモデリング
「About Face 3」のチャプター4〜5を読んで、質的調査としてのインタビューや、ペルソナとゴール設定など、ユーザー理解とモデリング手法について話しました。
- オープニングトーク: お茶と甘いもの
- チャプター1~3「ゴールダイレクテッドデザイン」の振り返り
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- エモーショナル・デザイン―微笑を誘うモノたちのために | ドナルド・A. ノーマン, Norman,Donald A., 明, 岡本, 通晃, 安村, 聡一郎, 伊賀, 晶子, 上野 |本 | 通販 | Amazon
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Chapter4 ユーザーを理解する: 質的調査
代表的な質的調査手法
- ステークホルダーインタビュー
- 主に社内におけるステークホルダーそれぞれへのインタビュー
- 提案したソリューションに対する批判という形で、後になって軌道修正を強制されるのを防ぐ
- Subject Matter Experts (SME) インタビュー
- デザインスプリントでいう専門家インタビュー
- 顧客インタビュー
- 顧客とユーザーの違い
- 顧客は購入意思決定者
- ユーザーは製品の利用者
- 代表的な質問
- 「製品を購入する上でも目標は?」、「意思決定プロセスは?」
- 顧客とユーザーの違いを意識することはBtoBの勘所だと思う
- 顧客とユーザーの違い
- ユーザーインタビュー
- 特に言うまでも無い
- インタビューだけでなくユーザー観察も質的調査の一つ
- 競合商品調査
- ヒューリスティック評価やエキスパート評価
民族誌学的インタビュー
- 曰く、観察と1:1インタビューの組み合わせが最も効率的な質的調査
- コンテクスチュアル・インクワイアリ (Contextual Inquiry)
- ヒュー・ベイヤーとカレン・ホルツブラットによる、民族誌学的インタビューのテクニック
- 師匠と弟子モデル
- コンテキスト: 師匠にとっての “いつもの場所” で実施する
- 協力関係: 尋問ではなく師匠から教わる
- 解釈: 師匠の背中を見て、「振る舞い、環境、発言」の行間を弟子が読む
- ポイント: インタビュー項目は事前に設計し、弟子が舵取りすることを忘れない
- 民族誌学 “エスノグラフィ”
- 調査対象の文化のなかで数年間生活する
- 本来は文化の慣習や振る舞いを理解しようとするもの
- About Faceではインタラクションデザインに精神を応用した
- 民族誌学的インタビューの準備
- 仮説的ペルソナ
- アーキタイプ
- 誰にインタビューするかの当たりをつける
- BtoBなら職種、BtoCならサービスにおける振る舞いなど
- 環境に対する配慮
- 組織規模、組織内の力学の理解など
- これもBtoBあるある
- 仮説的ペルソナ
- 民族誌学的インタビューの実施
- 2人1組、1時間
- インタビューの3step
- 初期: ドメイン知識の吸収がメイン。手探りになりがち
- 中期: ドメイン知識を得た上で、ようやく細部を深堀りができるようになる
- 後期: 新しい発見はなくなりパターンが見えてくる
- 自由解答形式から選択解答形式への質問が多くなる
- 基本的なやり方
- インタラクションが発生する場所でインタビューする
- 製品が使われてる場所や、その周りの環境に着目
- ディスプレイに貼ってあるポストイット、脇に置いてあるマニュアルなど
- 質問を固定化しない
- 半構造化インタビュー
- ゴールの話を中心にする
- 何をするかより、なぜするのか
- インタラクションが発生する場所でインタビューする
Chapter5 ユーザーのモデリング: ペルソナとゴール
ペルソナ
- 複合アーキタイプ
- 調査からパターンを見出し擬人化
- ペルソナはステークホルダー間の認識統一ツールの側面が強い
- ペルソナは次を防ぐ
- ユーザー概念の弾力性
- “ユーザー”という概念は、人それぞれ捉え方が多様になりがちで、ぐにゃぐにゃに歪む (弾力性が高い)
- 自己参照的デザイン
- デザイナー・プログラマによる自己投影
- 開発者自身がユーザーになり得る場合に起こりがち
- コーナーケースを高く見積もる
- 開発中に近眼的になると、本来は優先度を下げてもいいようなコーナーケースの不具合でも高く見積もってしまう
- ユーザー概念の弾力性
- ペルソナは人格化すべし
- 開発者に感情移入を促す効果がある
- メソッドアクトという手法もある
- 俳優に演じてもらい、シナリオのイメージを膨らませる
- アクティングアウトに近い?
- 基本的にペルソナは再利用できない
- コンテキストが違えばペルソナも変わる
- 複数製品に対応させようとすることコンテキストが広がり、ペルソナ化の難易度があがる
- “ユーザー”以外のペルソナを作るのもアリ
- “顧客”のように利用者ではないが、製品に間接的に関わるペルソナを作るのも良い
- 暫定ペルソナ
- 所謂、プラグマティックペルソナ
- どこが推測なのか明言するのが大事
ゴール
- ペルソナのゴール設定
- ペルソナはコンテキストであり、その向う先であるゴール設定が大事
- 3つのゴール
- エクスペリエンスゴール
- 製品を使っている最中にどう感じたいか
- 所謂、“一時的UX”
- ユーザーはどのような感じを求めているか
- 「楽しい」、「自分が賢く感じられる」
- ノーマンのエモーショナル・デザインにおける本能的レベルのデザイン
- 五感が最初に知覚する
- 製品を使っている最中にどう感じたいか
- エンドゴール
- 作業を実行することに対するユーザーのモチベーション
- ユーザーは何をしたいか
- 「17時までに終わらせる」、「スキな音楽を見つける」
- エモーショナル・デザインにおける行動的レベルのデザイン
- ユーザーの行動、暗黙の前提、脳内モデルに沿った製品の振る舞い
- ライフゴール
- 長期的な希望やモチベーション
- ユーザーは誰になりたいか
- 「よい人生をおくる」、「〜という目標を達成する」、「人気を集める」
- エモーショナル・デザインにおける内省的レベルのデザイン
- 長期的な製品との関係性
- フィリップ・スタルクのジューサー
- 「レモンを絞りたい」というエンドゴールではなく、「ユニークでありたい」「文化的に見られたい」という欲望 (ライフゴール) を満たす
- エクスペリエンスゴール
- ペルソナの作り方
- 行動変数を見極める
- 活動、態度、適正、モチベーション、技能
- インタビュー被験者を行動変数に対応づける
- 顕著な行動パターンを見出す
- パターン毎にゴールを統合する
- エンドゴールは3~5個, ライフゴールは1以下、エクスペリエンスゴールは2以下
- 重複や完成度をチェックする
- 態度や振る舞いの記述
- ゴールを補完するようなペルソナの態度や振る舞いを物語形式で書く
- 写真はフォトコラージュにすると伝わりやすい
- ペルソナの配役を決める (優先順位付け)
- ペルソナの優先順位付け。原則的にはペルソナは少ないほうが良い。
- 主役: UI設計におけるメインターゲット。BtoBにおける管理画面とフロント画面のような対峙するユーザーが明確に変わる場合には主役が複数になることもあり得る
- 脇役・端役: これらが多すぎるとターゲットが絞れていない兆候。なくても良い
- 顧客・サービス利用者: 購入意思決定者や、主役が提供するサービスを利用する者
- 黒衣: 製品のターゲットでは無いことを明示するために使う
- 行動変数を見極める